コラム
2023年04月03日
慢性腎臓病に対する治療薬 SGLT2阻害薬の効果
2020年NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICIEに、慢性腎臓病患者に対するダパグリフロジンを投与したDAPA CKD trialの結果が掲載されました。
対象
18歳以上の慢性腎臓病患者4,304例
・2型糖尿病の有無を問わない
・尿中アルブミン/クレアチニン比200~5000mg/g・Cr
・eGFR 25~75mL/min/1.73m2
・ACE阻害薬もしくはARBを4週間以上継続服用している。
CKDの重症度分類に当てはめてみると、タンパク尿が多く、eGFR 25~75
重症度分類では、オレンジや赤に表示される増悪していく可能性が高い患者群を対象としています。
結果
ダパグリフロジン投与群で、eGFR 50%以上の持続的な低下、末期腎不全への進展、腎疾患死、心血管死のリスクが39%減少しました。
腎疾患死・末期腎不全、心疾患死・心不全入院、全死亡いずれにおいてもダパグリフロジン投与群で減少していました。
ダパグリフロジン内服直後はeGFRが4程度さがりますが、その後低下のスピードは緩やかになり、約12か月後からはプラセボ群よりもeGFRは維持されている結果になりました。
まとめ
ダパグリフロジンは慢性腎臓病の患者において、2型糖尿病の有無にかかわらず
eGFR50%以上の低下・末期腎不全・腎もしくは心血管死のリスクを39%低下させました。
eGFRが保たれている時期から投与した方がメリットが大きいことが分かりました。
今後 尿蛋白が無い糖尿病を合併しないCKD 例えば腎硬化症などへの効果が明らかになることを期待したいと思います。